雨漏りが起きてからのメンテナンスでは遅い理由

その1:入居者様心理的損失

雨漏りが起きてしまった日から、入居者様は様々な不安を抱えたまま雨漏りが直るのを待つしかありません。

それにはどのような不安があるでしょう。

・雨漏りがいつ直るか不安、雨が降るのが怖い
・家具・家電が濡れてしまい壊れてしまうのではないか
・カビが発生してしまうのではないか
・漏電してしまい不在時に火災が起きてしまうのではいか
・子供を一人で置いておけない 

 雨漏りが起きてしまった日から沢山の不安を抱えることになります。しかし、雨漏りの修繕に関しては原因を突き止めることは容易ではありません。ある程度の目星をつけ、ひとつひとつ潰していくやり方が一般的です。最終的に直せなければ、全体の外壁改修工事を行う必要があります。外壁改修工事まで至ってしまった場合、早くても3か月ほどこの不安な気持ちを抱えたまま過ごすことになります。
 そんな入居者様が、ずっと笑顔で待ってくれるわけがありません。自身の意図しない引っ越しを考え、引っ越し費用を請求してくることも珍しくありません。引っ越し費用・家賃収入がなくなるダブルパンチが飛んできます・・・。


その2:最悪なケース:入居者様が引っ越しまで至ってしまった場合の賃貸オーナー支出シュミレーション

■ 想定物件

間取り 2LDK (ファミリータイプ)
家賃 110,000円
敷金 1か月預かり

支出シュミレーション

一時クリーニング代(在宅) 約 60,000円  
*すぐに引っ越しができるわけではないため
敷金返金 110,000円
家具・家電保障 保険対応  *一部家主負担がある可能性がある
一時避難ホテル代 20,000円
引っ越し代 100,000円
仲介手数料 110,000円
合 計 約400,000円

 これはあくまで概算です。シングル物件であればもっと安くなります。この費用は、間違いなく無駄な支出です。また、引っ越しを選択しなかったとしても家賃の減額等の対応が求められます。


家賃減額

 民法の改正により、入居中の不具合による家賃減額が〇〇年の4月より施行されています。これにより家賃減額の負担が明確化されました。これはあくまで、指標になります。この内容で入居者様が納得するかはわかりません。雨漏りしていて全く使用できない状態のまま1週間で雨漏りが直せる保証はありませんし、家賃を全額払いたくないと言ってくることも考えられます。
 引っ越しをしなくても、家賃の減額や保障を求められるため、ここでも不要な費用が発生してしまいます。

状況 減額割合(月額) 免責日数
トイレが使えない 30% 1日
風呂が使えない 10% 3日
水が出ない 30% 2日
エアコンが作動しない 5,000円 3日
電気が使えない 30% 2日
テレビ等が使えない 10% 3日
ガスが使えない 10% 3日
雨漏りによる利用制限 5~50%
※結露・カビが発生したら50%
7日

出典:(公財)日本賃貸住宅管理協会「クレーム・トラブル対処法増補改訂版」